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Immoral

第2章 逃がさない

 初めて逢った時は、彼女をただの部下としてしか見ていなかった。
 それがいつの日かふたりで飲みに行くようになり、身体の関係まで持つようになった。

 最初は酔った勢いだったのだと互いに思った。
 だが、彼女と距離を置こうと思えば思うほど、彼女が堪らなく恋しくなる。

 彼女と逢瀬を交わすたび、妻を裏切ることは重々承知だった。
 それでも、俺は彼女の温もりが欲しかった。

 妻は本当に良く出来た女だと思う。
 家事は完璧にこなすし、どれほど俺が疲れて帰って来ても、嫌な顔ひとつ見せず出迎えてくれる。

 そんな勿体ないほどの妻を持ちながら、どこかで不満を抱えているのだろうか。

 ただ、はっきり言えるのは、俺は妻よりも彼女に甘えることが出来るということだ。

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