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ヌードモデルと凍った世界──FROZEN──

第3章 裸で軌道修正

庫内に何が貯蔵してあったかは企業秘密で書けないから察してください。

感想は「寒い」。それだけ。

でも、冬の風にさらされるような辛い寒さではない。重く沈んだ寒さに皮膚の感覚が追いつけていないのかもしれない。

ただ怖くはあった。無防備な肉体がじわじわと侵されていく感覚は、「風邪ひくかも……」なんてレベルではなかった。

打ち合わせ通り、覗き窓に近づいた。カメラが三脚ごと動かされているはずだから。

しかし、窓は霜(しも)で真っ白だった。
慎重に手でぬぐうと、外から狙うカメラのレンズは見えた。

しかし、窓から離れないと全身が撮れないだろうから、後ずさりする。そのわずかな時間で窓は真っ白になった。
これじゃだめだ。
どうすればいいんだろう?

そのとき、ドアが外から開いた。終了の合図だ。

外に出た私を社長夫人が毛布でくるんだ。

冷凍庫内の映像が撮れないということはは想定内──事前に聞かされていなかったら、怒っていい進展だった。

しかし、これが実際の番組の忠実な再現だった。

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