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ヌードモデルと凍った世界──FROZEN──

第4章 裸で事後承諾

乳房をさらしながら無表情でいる私は、ヌードモデルだ。

裸の女性を見ているのは、医師だ。

その職業特有の正常な行為──しかし、診察を全裸でする必要性はないはずだった。なぜ私は裸にされているのか。

つまりは、冷凍庫での撮影に失敗したテレビスタッフの苦肉の策。
裸を撮れる口実としての形式的な健康診断だった。

いくら若い健康なモデルといっても、過酷な実験だから万一の事故がないように、「事前に」医師の診断を実施しました──というエクスキューズにするわけだ。

パンツも穿かせない真っ裸で診察する必要はない。
パンツ一枚の差で誤診するはずもない。

馬鹿馬鹿しい大人のお医者さんごっこを、プロの医師とセミプロのヌードモデルがやるのだから、開いた口がふさがらない。

どうせなら、そこの診察ベッドに横になりましょうか、完全な裸でレントゲン室に行きましょうか、と提案したけど、田中さんは実際にオンエアされた情景しか撮りたくないと断った。
真面目な人だ。

一方、本物の開業医さんは、
男女とも上半身裸だと、本当に診察がしやすいんだが、と本音を言いながら、聴診器をたたみ、診察を終えた。


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