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若葉

第2章 嫉妬

背中、首筋、脇腹、胸に惜しげもなく散った紅い痕

あれだけ強く擦ったのに、色鮮やかなその痕は、真新しさを強調していた

『相手は誰だ』
冷静な声が、恐怖心を煽る

『…』

答えられる訳がない
黙る俺に、さらに松本をイラつかせた

『下も脱げ。脱いだらそのままベッドにあがれ』

震える指先は止められない
惨めな気持ちになる
情けない
涙が出そうになる
泣いたら…もっと情けなくなる

グッと堪えて、制服と下着を全て脱ぎベッドにあがる

『仰向けに寝て、膝あげろ。智が誰に喰われたのかしっかり確認しないとなぁ』

『潤君…ごめんっ…俺…』

恥ずかしさと惨めな気持ちが交差する

『智…可愛い声出したら許されると思ってんのか?そういう態度が余計イラつかせんだよ‼︎だから男、寄せつけんだよ‼︎わかんねーのか⁈』

『⁈』

松本の体が覆い被さったと思うと同時に、息も出来ないほど濃厚に舌と舌を絡めてきた

『はぁっ…じゅっ…くるし…』

『もっと口開けよ。舌出せ』

強い言葉とは裏腹に、的確に敏感な所を攻めてくる

舌先に刺激される全てに、素直に体が反応する

まるで乳飲み子の様に、自らその柔らかな唇を求めた
そうする事が松本は好きだったから


『ほらな…結局好きなんだよ。嫌だ嫌だって口では言っても、その体は男を求める』
『潤…ごめん…許して…』

熱いキスに驚いた
怒りをぶつけられると思っていたのに、彼のキスは甘くて優しい

『よっぽど可愛がってもらったんだろ?こんなに痕が残ってても、傷はないみたいだからな』

抱き寄せる腕が優しい
絡みつく指が熱い

『心配…してくれたのか…?』
『…心配?俺がそんな優しい男に見えるか?自分の所有物に手を出されて、いい気な訳がない。智が男が好きなのも知ってるからな。いつかは、そんな日が来るとも思ってた』

松本が体を上げた
離れていく温もりに、急に寂しさを感じた

松本は背中を向け、ベッドに座る
その背中にすり寄り、腕を回し抱きつく

ワイシャツの上からでもわかる、松本の逞しい腕や背中

その背中に顔を近づけると、松本が好きで使っている香水の香りがした

乱暴な言葉で、自分は酷い人間なんだと思わせたいのかもしれないが…本当に傷つけるような事はしない
むしろ、自分が彼に悪い事をしているのかもしれない…

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