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その瞳にうつりたくて…

第7章 悪戯

確かクッキーをくれた小野ってまだ10代だったはずだ。

「残念ながら、俺は生徒から尊敬されてないし好かれてもいない。俺の事好きになるはずがない」

あー、何か自分で言ってて虚しくなって来るわ。

「それにこのクッキーだって、大方彼氏にでも作ったクッキーのあまりなんじゃね?」

だが、そう考えた方がしっくり来る。
余ったクッキーを捨てるのも勿体無いし、もしかしたら失敗作かも知れない。
毒味のつもりで俺に渡したのかも。

「これをくれた生徒は19歳ぐらいだったはずだし、こんないい歳をしたおじさんに惚れるわけねぇよ」

ほら。
俺が好かれるはずがない。
好かれるどころか嫌われる理由の方が多いくらいなのに。
この子は何の勘違いをしてるんだか…。

「でも、ハルさんって意外と鈍感でしょ?」
「ど、鈍感…?」

鈍感?
鈍感って鈍いって事だろ?
いや、生徒の陰口には結構早めに気づいてる。
スルースキルは身に付いたが、鈍感なんて言われたのは初めてだ。
何をどうしたら鈍感なんて思われてしまうのか…。

「鈍感かな、俺…」
「鈍感ですよ。超が付くくらい…」

え?
何か…、俺怒らせた?
明らかに不機嫌というか、綾ちゃんの顔が曇りだした。

俺、何か怒らせるような事言ったかな?
何かやらかしたか、俺…?

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