テキストサイズ

一夫多妻な三姉妹

第10章 一夫多妻家族

――ただ、彼女は性悪だった。

同級生である姉だけではなく、私達姉妹も見下し、それをはっきりと態度で表してくる。

弁護士の旦那を持ち子供は2人、広い一戸建てに住む、いわゆる《勝ち組リア充女》だ。


学生時代の私達姉妹の楽しいはずの思春期の貴重な時間を破壊した主犯でもあった。

明日香はクラスメイト、商店街の若い者を煽るように私達姉妹をイジメたのだ。


しかし、彼女に対して私達姉妹は「ある勝利」も収めていた。


うちが契約している隣町の高級スーパーに妹の奈々が配達に行った帰り、その街にあるラブホテルから、明日香の旦那と知らない女が腕を組んで出てきたのを発見したからだ。


これまでしつこいくらい嫌味を言われていた私達姉妹は、それだけで胸が晴れたようになった。

明日香は《スペック的》には勝ち組だが、旦那に浮気されているようでは、その幸せは形骸でしかない。

「義理の母がここの漬物欲しいっていってね…私は食べないんだけど」


明日香の意味を含んだ言い方にイライラしたが、姉は「そうなの、ありがとう」と愛想をふった。

普通の女性ならば、こんな女は「敵」と判断するがふつうだろう。

しかし私達姉妹のように、「ブス姉妹」のブランドがあるような《真性のブス》はどこか弱気であり、明日香のような存在に対しては離脱することができないレベルのトラウマを持ってしまうのだ。


「適当にみつくろって…1万円分くらい」

姉は了解してガラスケースの中からキューリの醤油漬けや大根の粕漬けなどを取り出し始めた。


「あなた達もまだ、独身なのね…フフッ」

姉妹を舐めるように見ながら、《いつもの》が始まる。

明日香は十分に見下して上下関係をはっきりさせるのに成功しているのに、まだマウンティングし足りないらしい。


「たまには街にでも出てブティックで服でも買えばいいのに…いい店教えようか?ちょっと高いけど。あ、そうだ!いいカットサロンもあるのよ。ニューヨークで修行した美容師がやってるの。ちょっと 《敷居が高い》かもしれないけど行って見たら??ずっとおんなじ髪型だし、3人とも…バッチリ決めたら男できるかもよ…フフッ」

姉は苦笑いしながら、私は少し微笑んでうつむいた。奈々は涙目になっているようだ。
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ