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ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか

第2章 佐和子の場合――裸にしただけでは終われない。

確かに、普通の美術制作とは逆のパターンである。

つまり、自慢のポーズをきめたモデルの肢体を画家が写しとる──ここはモデルが主導権を握っているという異例の現場だ。

初ヌードの佐和子にはハードルが高すぎたか。
裸を見せるだけと思っていた佐和子は戸惑っている。

このままだと羞恥心が起きてしまう。

仕方がない。助け船だ。

彼女の裸身を確認する。
標準体型。やはり、お尻と乳房がポイントだな。

どちらかというと、乳房を強調したほうがよさそうだった。

ひらめいた。こんなのどう?

足を肩幅に開き、両手を両膝につける。膝を曲げないなら自然に前傾姿勢となり、さりげなくヒップも突き出されるけど、下向きになる乳房がもっと印象的なアクセントになる。

ま、おっぱいが垂れるということだが、ブラジャーから解放された乳房のやわらかい変形は素敵だと思った。

姿見ミラーで本人も確認し、ちょっと赤面したが、決定となった。

やってしまえば楽な姿勢だから、なんなくラフスケッチはできあがった。

仕上げのための実景写真を撮り、終了。

佐和子は服を着ながら、「ごめんね。でも、ありがとう」
と言った。

ふう、一人目が終了。

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