*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*
第6章 私を見つけて
*
「みんなーどこぉ!?」
赤ずきんのコスプレをした私は、わちゃわちゃする人ごみの中で、友達探しにオロオロ。
ハロウィンイベントで迷子なんて迂闊。私、来年高三よ? また小学生扱いされるぅー。
それにこのミニ身長のせいで、周りの人が『何とかの巨人』に見える。油断したら食われちゃう!? なんて。
お願い、早く私を見つけてぇ……
「見つけたぞー赤ずきん! がぉー!」
「ひゃあっ!」
急に私を高い高いしたのは――え、『狼男』!? 飲み込まれる!? なんて。もちろんコスプレだけど……誰?
でも、男らしい顔をしていて、狼のコスプレがよく似合ってるなぁ……
「……あ、悪い。妹と間違えた」
見惚れていたら、狼男は私を飲み込まずに一言ポツリ。
「へ? 妹?」
「君も小学生?」
「ちょっ……」
わっ……持ち上げたまま間近で見てくるぅ! めちゃハズい!
普段だったらかなりムッとする小学生発言なのに……なぜか胸がキュウっと締まるだけ。
「私っ、高校生ですっ」
「マジか。小さくて可愛いから小学生かと……」
カワッ……?
「あ。ずきんと同じ顔色になった」
「いっ!?」
やめてぇ! 初対面なのに気持ちを弄ばないでぇ!
「えっと……妹さん『も』迷子ですか?」
「いや。妹は母親と一緒で……ん? 『も』ってことは……君、迷子?」
「うっ……」
しまった。自らバラした。
「ははっ! 高校生なのに本当小学生みてぇー」
「ほっといてよ!」
「悪い意味じゃなくて、可愛いって意味だって」
「っ、だから……」
お願いっ、これ以上その気にさせないでぇ!
「あ、いたいた! おーい!」
はっ。その声はっ――
「あーん、やっと会えたぁ!」
友人達が手を振りながらこっちに向かってくる。この高い高いが結構目立ってたみたい。
「……どうやら見つかったみたいだな」
狼男は私をそうっと下ろした。けど……何か私、離れ難く思ってる?
「じゃあな。また来年も見つけてやるよ。
可愛い赤ずきんちゃん」
「あ、待っ――」
大きな手が頭にぽんっと乗ったと思ったら、狼男はあっという間にいなくなってしまった。
名前ぐらい聞きたかったのに……。
でも、ありがとう……狼男さん。
来年のハロウィンも、私を見つけてね。
〈完〉
「みんなーどこぉ!?」
赤ずきんのコスプレをした私は、わちゃわちゃする人ごみの中で、友達探しにオロオロ。
ハロウィンイベントで迷子なんて迂闊。私、来年高三よ? また小学生扱いされるぅー。
それにこのミニ身長のせいで、周りの人が『何とかの巨人』に見える。油断したら食われちゃう!? なんて。
お願い、早く私を見つけてぇ……
「見つけたぞー赤ずきん! がぉー!」
「ひゃあっ!」
急に私を高い高いしたのは――え、『狼男』!? 飲み込まれる!? なんて。もちろんコスプレだけど……誰?
でも、男らしい顔をしていて、狼のコスプレがよく似合ってるなぁ……
「……あ、悪い。妹と間違えた」
見惚れていたら、狼男は私を飲み込まずに一言ポツリ。
「へ? 妹?」
「君も小学生?」
「ちょっ……」
わっ……持ち上げたまま間近で見てくるぅ! めちゃハズい!
普段だったらかなりムッとする小学生発言なのに……なぜか胸がキュウっと締まるだけ。
「私っ、高校生ですっ」
「マジか。小さくて可愛いから小学生かと……」
カワッ……?
「あ。ずきんと同じ顔色になった」
「いっ!?」
やめてぇ! 初対面なのに気持ちを弄ばないでぇ!
「えっと……妹さん『も』迷子ですか?」
「いや。妹は母親と一緒で……ん? 『も』ってことは……君、迷子?」
「うっ……」
しまった。自らバラした。
「ははっ! 高校生なのに本当小学生みてぇー」
「ほっといてよ!」
「悪い意味じゃなくて、可愛いって意味だって」
「っ、だから……」
お願いっ、これ以上その気にさせないでぇ!
「あ、いたいた! おーい!」
はっ。その声はっ――
「あーん、やっと会えたぁ!」
友人達が手を振りながらこっちに向かってくる。この高い高いが結構目立ってたみたい。
「……どうやら見つかったみたいだな」
狼男は私をそうっと下ろした。けど……何か私、離れ難く思ってる?
「じゃあな。また来年も見つけてやるよ。
可愛い赤ずきんちゃん」
「あ、待っ――」
大きな手が頭にぽんっと乗ったと思ったら、狼男はあっという間にいなくなってしまった。
名前ぐらい聞きたかったのに……。
でも、ありがとう……狼男さん。
来年のハロウィンも、私を見つけてね。
〈完〉