*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*
第12章 おなじきもち
*
「……結構なモテっぷりですこと」
友達の美世(みよ)が、俺の机の上に積まれたバレンタインチョコを見て呟いた。
「俺もビックリなんだけど。教室に戻ってきたらコレだし」
「あっそ」
なんか美世が恐い……何でだ?
「……そうだっ。一緒に食うか? 俺一人で全部食べたら胃を壊しそうだしさ」
甘い物を食べさせれば、機嫌も良くなるだろ――
「っ! 食べるわけないでしょっ! あんたなんか胃を壊して入院しちゃえ! バーカッ!」
「いてっ!」
良くなるどころか更に悪くなって、あげくに何かを投げつけて逃げやがった。
「あ……」
投げつけられたのは、ハート型の赤い箱。
――俺が密かに欲しいと思っていた、美世からのバレンタインチョコだった。
そして、箱に付いていたメッセージカードには
『好き』の一言が。
たった二文字なのに、何万文字分に匹敵するぐらい、大きな気持ちが熱く伝わってくる。
美世……。
「何だよ。素直に渡してくれれば俺だって……
好きなのに」
俺は、美世のチョコだけを持って急いで追いかけた。
*
「――美世っ!」
「っ、航平っ……」
友達の航平が、教室から逃げた私を追いかけてきた。玄関で靴を履き替えようとしたところで、腕を掴まれてしまった。
「はぁっはぁっ……お前、いきなり逃げるなよ」
「だって、ムカついたんだもんっ。あんなにチョコ貰ってるし、『一緒に食うか?』つって私に食べさせようとするしっ」
と文句を言いながら、涙で視界が歪む。
「ごめんな。俺、無神経だった」
「別に、謝ってほしくないっ」
うぅ……気恥ずかしくて、なかなか素直になれない。
「その……俺も同じ気持ちだから」
「……同じ、気持ち?」
「コレのことだよ」
「あたっ」
航平がさっきのお返しとばかりに、頭に軽く叩くように乗せたのは、
私がヤキモチして投げつけたハート型の箱。
『好き』の一言だけ書いたメッセージカード付きの、バレンタインチョコ。
同じ気持ち……てことは、
「んっ……」
ウソ。
航平の顔が、唇が、私と重なってる……。
「……じゃ、帰るぞ」
「わっ、ちょっと待ってっ……」
いきなりのキスと、カップル繋ぎで伝い合った――
私と航平の、同じ気持ち……。
〈完〉
「……結構なモテっぷりですこと」
友達の美世(みよ)が、俺の机の上に積まれたバレンタインチョコを見て呟いた。
「俺もビックリなんだけど。教室に戻ってきたらコレだし」
「あっそ」
なんか美世が恐い……何でだ?
「……そうだっ。一緒に食うか? 俺一人で全部食べたら胃を壊しそうだしさ」
甘い物を食べさせれば、機嫌も良くなるだろ――
「っ! 食べるわけないでしょっ! あんたなんか胃を壊して入院しちゃえ! バーカッ!」
「いてっ!」
良くなるどころか更に悪くなって、あげくに何かを投げつけて逃げやがった。
「あ……」
投げつけられたのは、ハート型の赤い箱。
――俺が密かに欲しいと思っていた、美世からのバレンタインチョコだった。
そして、箱に付いていたメッセージカードには
『好き』の一言が。
たった二文字なのに、何万文字分に匹敵するぐらい、大きな気持ちが熱く伝わってくる。
美世……。
「何だよ。素直に渡してくれれば俺だって……
好きなのに」
俺は、美世のチョコだけを持って急いで追いかけた。
*
「――美世っ!」
「っ、航平っ……」
友達の航平が、教室から逃げた私を追いかけてきた。玄関で靴を履き替えようとしたところで、腕を掴まれてしまった。
「はぁっはぁっ……お前、いきなり逃げるなよ」
「だって、ムカついたんだもんっ。あんなにチョコ貰ってるし、『一緒に食うか?』つって私に食べさせようとするしっ」
と文句を言いながら、涙で視界が歪む。
「ごめんな。俺、無神経だった」
「別に、謝ってほしくないっ」
うぅ……気恥ずかしくて、なかなか素直になれない。
「その……俺も同じ気持ちだから」
「……同じ、気持ち?」
「コレのことだよ」
「あたっ」
航平がさっきのお返しとばかりに、頭に軽く叩くように乗せたのは、
私がヤキモチして投げつけたハート型の箱。
『好き』の一言だけ書いたメッセージカード付きの、バレンタインチョコ。
同じ気持ち……てことは、
「んっ……」
ウソ。
航平の顔が、唇が、私と重なってる……。
「……じゃ、帰るぞ」
「わっ、ちょっと待ってっ……」
いきなりのキスと、カップル繋ぎで伝い合った――
私と航平の、同じ気持ち……。
〈完〉