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*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*

第13章 レディース&ジェントルマン……?



「あははっ。今日も地味でウザーい」

「ちょっと、ホントのこと言ったら可哀想だってー」

 今日も突っかかってくる女子数人。クスクス笑いながら囲んでくる。

「や、やめてくださいっ……」

 なーんてな。アタイも地味で弱いフリが上手くなったもんだ。

 実はアタイ、有名なレディースの総長。『百年に一人の極悪女』と呼ばれ、敵からも仲間からも猛獣かのように怯えられてんだ。

 大学では正体を隠すため、おかっぱのウィッグに黒ぶちメガネ。

 しかしコイツら、クッソムカつく。仲間とバイクで引きずり回してから身ぐるみ剥いで、極寒の海にでも放り込んでやりてぇ。

 けど、ここはグッと我慢だ。

 正体を隠すためでもあるが――

「君達。いい加減にしなよ」

 よっしゃあ! 今日も現れたーっ!

 いつも女子どもから助けてくれる、アタイのジェントルマン! クソ、今日も眩しいぜ!

「君、大丈夫?」

「は、はいっ」

 かわいこぶるために、精一杯声を高く裏返す。

「また何かあったら僕が守ってあげるからね」

 うおぉーっ、頭なでなで! くぅーっ、また惚れちまった! だから弱いフリはやめらんねぇ!


 ――あのゲス総長とは全然違うぜっ! ははっ!


         * * * * * * *


「あははっ。今日も地味でウザーい」

「ちょっと、ホントのこと言ったら可哀想だってー」

 アイツら……またか。

 女子数人が、一人の弱々しい女子を囲んでいる。

「や、やめてくださいっ……」

 確かに地味な容姿だが……俺にはそれが愛おしいんだ。

 実は俺、有名な族の総長。『千年に一人の極悪人』と呼ばれ、敵からも仲間からも悪魔かのように恐れられている。

 大学ではバレねぇように、金髪とピアスだらけの耳はカツラで隠している。

 しかし、胸クソわりぃな。アイツらを裸にして醜態を晒させて、二度と世間に出られなくしてやりてぇ。だが、ここは我慢だ。

「君達。いい加減にしなよ」

 マグマの如く沸き上がる怒りを抑え、爽やかに女子どもを追い払った。

「君、大丈夫?」

「は、はいっ」

「また何かあったら僕が守ってあげるからね」

 ふっ。頭を撫でただけで照れてら。このコのためなら、族をやめても構わねぇ。


 ――あの下品なレディースの総長とはエライ違いだな。


〈完〉

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