*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*
第16章 私のこと……どれくらい好き?
*
駅前で彼と待ち合わせしていると、隣にいるカップルが、
「ねぇ。私のこと、どれくらい好き?」
「んー……ドーム100億個分ぐらい好き」
「そんなに? やだぁー!」
と、ハートを四方八方に飛ばしてきた。
あのぉ、聞いてるこっちがハズくて『やだぁー』なんですが。しかも100億個って、高性能の乳製品に含まれてる乳酸菌かっての。
とはいえ、ちょっとだけ羨ましかったりもして。
私も『どれくらい好き?』って訊いたら、彼も何かに例えて答えてくれるかな?
「おう。またせたな」
「あっ、ううん」
彼が来た。
クールで感情をあまり表に出さない彼。
そんな彼は、私のこと……どれくらい好きなんだろ?
ドキドキと胸を鳴らしながら、そうっと口を開いた。
「ねぇ……」
「何?」
「私のこと……どれくらい、好き?」
訊いてしまった。そしてハズっ。
でも彼の方は、ハズイ質問をされても表情も顔色も変えることもなく見つめてくる。
どうなの……?
期待に胸を膨らましていると――
「うーん……わかんねぇ」
彼はとってもコールドな一言を放った。
「へ? わかんねぇ?」
「あぁ」
えぇーそんなぁ。なんて素っ気ない。
ドームや乳酸菌に例えろとは言わないから、せめて何かしら言ってほしかった。ハズイ思いをしてまで訊いたのに……。
ボッキリ心折られ、自分でもわかるぐらいガッカリ感が表に出た。
「そんな顔すんなよ。しょうがねぇじゃん。
――どう例えていいのかわかんねぇぐらい、
お前のことが好きなんだから」
「……え?」
何それ?
「え、てことは……好きという気持ちが計り知れないってこと?」
「……そうだよ。いちいち訊くな」
クールな彼の頬が、珍しく赤く染まってる。
待って。それ、ガッカリする必要なかったヤツじゃん。なんだもう、わかりづらいよー。
「なら、俺も訊くけどさ、
俺のこと……どれくらい好きなの?」
「えっ!?」
この質問、される方もハズイのね。
「わ、私も……例えられないぐらい……好き、だよ」
「…………あっそ」
また素っ気ない。でも、耳まで真っ赤。
たぶん、私も。
こんなにもラブな気分に浸れるのなら
また今度『どれくらい好き?』って
訊いても、いい?
〈完〉
駅前で彼と待ち合わせしていると、隣にいるカップルが、
「ねぇ。私のこと、どれくらい好き?」
「んー……ドーム100億個分ぐらい好き」
「そんなに? やだぁー!」
と、ハートを四方八方に飛ばしてきた。
あのぉ、聞いてるこっちがハズくて『やだぁー』なんですが。しかも100億個って、高性能の乳製品に含まれてる乳酸菌かっての。
とはいえ、ちょっとだけ羨ましかったりもして。
私も『どれくらい好き?』って訊いたら、彼も何かに例えて答えてくれるかな?
「おう。またせたな」
「あっ、ううん」
彼が来た。
クールで感情をあまり表に出さない彼。
そんな彼は、私のこと……どれくらい好きなんだろ?
ドキドキと胸を鳴らしながら、そうっと口を開いた。
「ねぇ……」
「何?」
「私のこと……どれくらい、好き?」
訊いてしまった。そしてハズっ。
でも彼の方は、ハズイ質問をされても表情も顔色も変えることもなく見つめてくる。
どうなの……?
期待に胸を膨らましていると――
「うーん……わかんねぇ」
彼はとってもコールドな一言を放った。
「へ? わかんねぇ?」
「あぁ」
えぇーそんなぁ。なんて素っ気ない。
ドームや乳酸菌に例えろとは言わないから、せめて何かしら言ってほしかった。ハズイ思いをしてまで訊いたのに……。
ボッキリ心折られ、自分でもわかるぐらいガッカリ感が表に出た。
「そんな顔すんなよ。しょうがねぇじゃん。
――どう例えていいのかわかんねぇぐらい、
お前のことが好きなんだから」
「……え?」
何それ?
「え、てことは……好きという気持ちが計り知れないってこと?」
「……そうだよ。いちいち訊くな」
クールな彼の頬が、珍しく赤く染まってる。
待って。それ、ガッカリする必要なかったヤツじゃん。なんだもう、わかりづらいよー。
「なら、俺も訊くけどさ、
俺のこと……どれくらい好きなの?」
「えっ!?」
この質問、される方もハズイのね。
「わ、私も……例えられないぐらい……好き、だよ」
「…………あっそ」
また素っ気ない。でも、耳まで真っ赤。
たぶん、私も。
こんなにもラブな気分に浸れるのなら
また今度『どれくらい好き?』って
訊いても、いい?
〈完〉