テキストサイズ

*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*

第19章 助言



 とある飲みの場で、男友達から恋愛相談をされた。

「そのコには彼氏がいるんだけど、僕……どうしてもそのコを手に入れたいんだ。どうしたらいいかな?」

 一通り聞き終えてから私は、酔った勢いも相まって――

「そんなのはね、『ヤッちゃえば』いいのよぉ」と、言い放った。

 恋に悩む純朴な男友達に、つい卑猥な助言をしてしまったと、酔った頭でもあとから負い目を感じた。けど、

「……なるほどね。うん、わかった。そうしてみるよ」

 男友達は卑猥な助言を聞き入れたのか、スッキリとした顔で席を離れた。

「…………まぁ。人間、時には強引さも必要よねー」

 なんて、自分の罪を軽くするように言い聞かせてから、飲みかけのチューハイを口にした。


 ――後日。


 女友達からの助言を胸に、大きなボストンバッグを取り出す。これまでに揃えた道具を、一つ一つ丁寧に詰め始める。

 ……あのコの視界を遮るためのアイマスク。
 あのコを大人しくさせるためのロープ。
 
 そして――
 あのコを冷凍庫に入れやすくするためのノコギリ。

 あぁ……。これでやっとあのコを手に入れられる。
 そう思うと、高揚感が高まってしょうがない。


 これも女友達が――

(そんなのはね、『殺っちゃえば』いいのよぉ)

 と、助言をしてくれたおかげだ。


「……ありがとう」


 僕は自然と、女友達への感謝の気持ちを口にしていた。


〈完〉

ストーリーメニュー

TOPTOPへ