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*。・。*1ページだけのストーリー集*。・。*

第20章 レッド? or ブルー?



 爆発物処理班である俺は、配属されたばかりの若造と二人で、時限爆弾が設置された場所に駆けつけた。

 クソッ、犯人のヤツ。警視庁の地下に仕掛けやがって。しかも残り時間が一分しかない。もしこのまま爆発してしまったら、警視庁は全崩壊だ。

 止めるには、爆弾を繋ぐ赤と青の導線のどっちかを切るしか方法がないが、間違えたら即爆発。唯一答えを知る犯人は……残念ながらすでに自殺してしまい、答えは闇の中となってしまった。

 だが、それでも俺は、冷静でいられるんだなぁ、これが。

 なぜなら――どっちを切るべきか答えを訊かずとも、すでにわかりきっているからだ!

「先輩っ! どっちですかっ!?」

 若造が震える手でハサミを持って、俺の答えを待っている。

 俺は迷わず――「青だっ! 青を切れっ!」と叫んだ。

 そう。答えは『青』だ。今までの時限爆弾も全て青だった。それと、今朝見たテレビの占いでも、俺のラッキーカラーは青だ。だから間違いない。培った経験も、占いも、裏切らない。

「本当にいいんですね!?」
「大丈夫だ! 俺を信じろっ!」

 若造は、俺の揺るぎない言葉に、しっかりと頷いた。
 俺も、若造の背中を押すように力強く頷く。

「いけっ!」
「はいっ!」

 若造は躊躇することなく、ハサミを青の導線に持っていき、

 プツン……と切った。

 時限爆弾の時計は――あと十秒のところでピタリと止まった。

「や……やった……」
「やりましたね先輩っ! さすがですっ!」

 安堵のあまり、二人して「わーいわーい! やったやったぁー!」と、子供みたいに無邪気になって大喜びをした。

 あぁ良かった……ホントに良かった。今だから言えることだが、実はちょぴっとだけ「間違っていたらどうしよう」とハラハラドキドキしていたんだ。

「よしっ、この爆弾を回収するぞ!」
「はいっ!」

 若造は言われたとおり、設置してある爆弾を慎重に外して持ち上げた――

 が、


「あ」


 あろうことか若造は、自分の親指を、誤って赤の導線に引っ掛かけてしまい、


 ふとした拍子に、導線をブチッと切っ






〈完〉

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