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愛がはじまるとき

第1章 愛がはじまるとき

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 満さんはそう言いますが、わたしは、すぐには返事をしませんでした。
 うまいことを言っていても、一緒に寝たら、ずるずるとセックスをしてくるんじゃないか、と思ったからです。
 それでも、満さんのいままでの、とてもジェントルな態度に、信じてもいいかなと思いました。
 下着だけでというのが恥ずかしかったのですが、実験だと思えば、下着だけになるほうが、かえっていいのかもしれないとも思いました。
 もしかしたら、下着もないほうが、と思ったくらいです。
 実験なのだから。
 結果は、良かった。
 おずおずと、わたしが、満さんのとなりに寝ると、あまり体を密着させずに優しく抱いてくれて、
 「さあ眠りましょう」
 「はい」
 「この状態では
  すぐには
  眠れないでしょうから
  子守歌がわりに
  里美さんの知らないような
  昔話をしてあげます」
 と言って、屁こき嫁や吉四六ばなしなど、笑い話を話してくれました。
 でも、そんな話のあいだに、セックスの話もしました。
 セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだというのを、くりかえしくりかえし話してくれました。
 それを聞くたびに、彼がいかに自分勝手なセックスをしてきたのかがわかり、もう別れようと決心しました。

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