ひとつ屋根の下の愛情論
第11章 弟の成長と嫉妬
夏休みに入り――――秋音は俺の塾の夏期講習に参加すると言い出した。
更に――――…俺の我慢は職場にまで持ち込まれた訳だ…
「今年は、受講生多いですからね――――…人気塾講師は辛いっすね」
「……だな」
俺は、窓から見える通りの様子を重い気持ちで眺める――――…
と、ビルから出てくる…秋音と女子の後ろ姿を見つけた。
「あ――――…」
「ん?あ~!あれ、弟君じゃないですか?あ、女子と一緒に帰るって///兄としては複雑っすね!」
複雑――――…?複雑どころではない…
イライラを上乗せするイライラとモヤモヤに…俺は二人の後ろ姿を睨み付けた。
「うゎ!先輩…めちゃくちゃ…怖い顔っすよ?やめてくださいよ…次の授業その顔でしないでくださいね?つ~か、もう、高3なんだから…過保護にしちゃ嫌われますよ!」
木戸は「お~怖っ!」と、喫煙スペースから逃げていった。