ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
青ざめ――――吐き気と戦う俺を支えながら…
律夏はお手洗いまで俺を連れていく!
便座に向かうと――――…
口に入っていた吐瀉物を豪快にぶちまけた!
「うっ――――うぇっ!…ぅ…うげぇ――――!」
「落ち着け――――…大丈夫だ、大丈夫だ…お前を襲った奴じゃない!大丈夫だお前に危害を加えた男じゃない!」
律夏は背中を撫でながら俺が吐き終わるまでそばにいてくれた。
すべてをだし終わると…俺は便座にぐったりと持たれながら…
小刻みに震えた。
大丈夫だと――――…思っていたのに…
あの事件の件はもう大丈夫だと…思っていたのに…
怖かった――――…
声が…
手が…
男が――――…
怖い――――――――…