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死角関係~女3男1の四角関係~

第9章 私は男を見る目があった!!

徳井先生に返せなかった。

返せるタイミングがなかった。

だけど…徳井先生はこの万年筆を
あえて私の部屋に置いていったのかと
思えてならない。

翔馬との大切な思い出の品を
忘れてしまうことの方が不自然。

翔馬が白衣の胸ポケットに差している
青い万年筆が
このピンク色の万年筆の相方だろう。

徳井先生は第九十八分院への異動を機に
翔馬との別れを決意していたのかもしれない。

そして、この万年筆を処分するのは忍びなく
この部屋に置き去りにしたのかもしれない。


「環奈!?まだ!?」


私を呼ぶ翔馬の声。


「今、行くところ!!」


万年筆はチェストの奥底に隠した。

捨てられるわけがない。

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