
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第12章 君と私とロバと……
周りから向けられる白い目に耐えられなくなった私は、思考を手放すと白目を向いた。
お願い……。
何でもいいから早く終わって……。
ニコニコと微笑むひぃくんに抱きしめられながら、ノロノロと動くロバの背に乗った白目の私。
その姿は、周りがドン引くには充分な程に異様で、気付けばあっという間に私達の周りには人がいなくなっていた。
私達を乗せてノロノロと動くロバは、それから五分程すると静かに動きを止めた。
地獄のように長い五分間だった……。
何故私がこんな目に……?
一刻も早くこの場から立ち去りたかった私は、ロバから降りるとフラフラとおぼつかない足を一生懸命に動かし、少し離れた場所にいるお兄ちゃん達の元へと向う。
「……お、お兄ちゃん……」
「……お疲れ。お前、顔ヤバかったぞ……」
引きつった顔をして私を見つめるお兄ちゃん。
……私、そんなにヤバかった?
私の顔なんかより、あの状況の方がよっぽどヤバかったと思うけど。
「翔《かける》! 写真ちゃんと撮ってくれたー?」
「あ……まぁ、一応撮ったけど。花音の顔がヤバイ」
え……私そんなにヤバイの?
引きつるお兄ちゃんの顔を見て、ニコニコと嬉しそうに携帯を見ているひぃくんに視線を移す。
「花音可愛いー」
携帯を見つめるひぃくんが、嬉しそうな声を上げてニコニコと微笑んだ。
写真が気になった私は、ひぃくんの手元の携帯を覗き見る。
