
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第13章 恋人はサンタクロース
明日はいよいよクリスマス。
と言っても、自宅でのホームパーティーしか予定の入っていない私。
ひぃくんと付き合っている事はもう知っているのに、二人きりでのデートは許してくれなかったお兄ちゃん。
せっかくのクリスマスなのに……。
恋人同士になってから初めて迎えるクリスマスなんだよ?
イブの日くらい……ひぃくんと二人きりで過ごしたかった。
お兄ちゃん酷いよ……。
不貞腐れた顔でひよこをギュッと抱きしめると、そのままベッドへ倒れ込む。
「一緒にツリー見に行きたかったなぁ……」
ポツリと小さな声で呟いた私は、そのままひよこへ顔を埋《うず》めた。
ーーーカラッ
思わず身震いしてしまいそうな程に冷たい風が吹き込んだかと思うと、数秒後にフワリと頭に触れた暖かい感触。
「ーー花音」
頭上から聞こえる心地よい声に顔を上げてみると、優しく微笑んでいるひぃくんと目が合う。
「えっ……ひぃくん。……どうしたの?」
確か、さっき携帯を見た時はまだ19時だったはず。
こんな時間にひぃくんが窓をつたって来るなんて珍しい。
不思議に思って見つめていると、ひぃくんは小首を傾げてフニャッと笑った。
「もうご飯食べた? 」
「え? ……あ、うん。食べた……けど? 」
そんな事を一々聞きに来たの……?
ひぃくんの質問の意図が解らずに少し戸惑う。
そんな私を見たひぃくんは、クスリと小さく微笑むと私の身体を優しく抱き起こした。
「じゃあ今から出掛けようか」
「えっ? ……手掛けるって……どこに? 」
驚いた顔をみせると、私の頭を優しく撫でたひぃくんはフニャッと笑って小首を傾げた。
「ツリー見に行くんだよー」
「……えっ?! 」
「外は寒いから、ちゃんと暖かい格好してね」
「えっ?! ツリー?! ツリー見に行くの?! 」
