
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第13章 恋人はサンタクロース
「うん、そうだよー」
そう言ってニッコリと微笑むひぃくん。
「ホント?! やったぁー!! 急いで支度するねっ! 」
勢いよく立ち上がった私は、ひよこをベッドへ放り投げるとクローゼットへ走り寄る。
そんな私を見て、クスクスと笑い声を漏らしたひぃくん。
「そんなに大きな声出したら翔《かける》にバレちゃうよ? 」
そう言いながら、私の放り投げたひよこを掴み上げてフニャフニャと手のひらで揉み始める。
「大丈夫! お兄ちゃんね、さっき用があるからって出掛けたの」
「翔《かける》いないの? 」
「うん。……酷いよね、 私には出掛けちゃダメって言ったくせに」
ブツブツと文句を言いながらクローゼットを漁る。
ーーー?!
不意に後ろから抱きしめられ、驚いた私はピタリと動きを止めた。
「……じゃあ、ゆっくりデートができるね」
耳元で甘く囁くその声に、ドキッとした私の心臓は急激に心拍数を上げてゆく。
「ゆっくり支度していいよ。また後で迎えに来るから」
そう言って私の髪に優しくキスをしたひぃくんは、私の顔を覗き込むと優しく微笑んだ。
「……うん」
「ちゃんと暖かい格好してね」
フニャッと笑ったひぃくんは、私の頭を優しく撫でるとヒラヒラと手を振って自室へと戻って行った。
そのまま部屋に一人残された私は、未だ早鐘を打つ胸にそっと手を当ててみる。
最近のひぃくんは何だか変だ。
いや……元々変なんだけど……。
なんていうか、時々もの凄く甘い声を出す……気がする。
単なる私の勘違いなのだろうか?
静まってきた胸から手を離した私は、小さく息を吐くと再びクローゼットの中を物色し始める。
その中から一枚のワンピースを取り出すと、私は目の前で広げてみた。
「……うん、これにしよう」
以前、ひぃくんが可愛いと褒めてくれたピンクのワンピース。
そのワンピースに合わせて真っ白なコートも取り出すと、私は今からのデートにウキウキとしながら支度を始めたーー。
