
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第15章 君とハッピーバレンタイン
「ねぇ、彩奈。……そのチョコ、誰にあげるの? 」
気になった事をそのままストレートに質問してみた私。
毎年彩奈があげるのは、お兄ちゃんとひぃくんとお父さんと……私。
それだけなはず。
数はあってるけど……。
何だか一つだけ特別感が凄い。
まるで、私がひぃくんのだけ特別に豪華にしたのと同じような……。
未だ無言の彩奈をチラリと見ると、何だか顔が……赤い?
……え?……えっ?!
もしかして彩奈……っ!
「彩奈っ! 好きな人にあげるの?! 」
「……うん」
真っ赤な顔をしてそう答えた彩奈。
えっ?! 嘘っ! 彩奈……好きな人いたの?!! じゃあ……。
チラリとラッピングされたチョコ達を見渡した私。
やっぱり……数が合わないわ。
うっ……今年からは私のチョコはないのねっ。
食べたいっ! ……食べたいけどっ……っ私、我慢するっ!
彩奈の好きな人の為に我慢するんだからぁっっ……!
一人、心の中で大芝居を打った私は、気を取り直すと涙を堪えて彩奈を見た。
「誰?! 彩奈の好きな人って」
「……翔さん」
「へっ……? 」
ポツリと小さな声で答えた彩奈に、間抜けな声を出した私。
えっとー……えっ?
「……どちらの翔さん? 」
そう言った私は、引きつった顔でヘラッと笑って見せる。
そんな私を見た彩奈は、少しむくれて、けれど真っ赤な顔のまま口を開いた。
「あんたのとこの翔さんよっ。もう……花音のバカっ」
ーーー!!?
なっ!? ……何ですとっ!?
お兄ちゃん!? 私のお兄ちゃんなの!?
意外すぎる人物に、驚きすぎて声の出ない私。
見開いた目で彩奈を見つめると、呆然とその場に立ち尽くした。
