
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第15章 君とハッピーバレンタイン
えっ?!だって……だって、あのお兄ちゃん?!
な、何でっ?!
何でお兄ちゃん?!
彩奈だって怖がってた……はず……。
あっ……あれ……?
怖がって……た……?本当に……?
今までの彩奈の不思議な態度を振り返ってみる。
今にして思えば、あれは怖がっていたんじゃなくて照れていたのだと気付く私。
「……彩奈。ごめんね、気付いてあげられなくて」
「いいよ。……だって花音だもん」
頬を赤く染めたままの彩奈は、プッと小さく声を漏らすと照れ臭そうに笑った。
「いつから……? いつからお兄ちゃんの事が好きなの? 」
「んー気付いた時には……。たぶん、中一の頃かな……でも、翔さんいつも彼女がいたから……」
「……そうなんだ」
私は知らなかったけど……。
彩奈は知ってたんだね、お兄ちゃんに彼女がいた事。
それでも好きって、きっと辛かっただろうな。
そんな彩奈を思うと、何だか目頭が熱くなってくる。
「もう……やめてよ花音。私は大丈夫だからっ。それにね、今はフリーだって翔さん言ってたから。だから……告白ね、してみようと思うの」
そう言って明るく振る舞う彩奈。
私はそんな彩奈の両手を握ると、今にも泣き出しそうな顔のまま笑顔を作った。
「っ……そっか。そうなんだねっ! 私、彩奈の事応援するからねっ! 」
「うんっ……ありがとう、花音」
そう言って可愛らしく微笑んだ彩奈。
そっか……彩奈の好きな人はお兄ちゃんなんだ。
……うん、それなら私にも協力ができそう。
目の前の親友を見つめてそう思った私は、彩奈の為に協力しようと固く心に決めたーー。
