
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第18章 ★君はやっぱり大切な人
その日の放課後、私はお兄ちゃんを待たずに学校を出た。
だってひぃくんがいるから。
登下校は必ず一緒にするように、とお兄ちゃんからは言われているけど……
今はひぃくんの顔も見たくなかった。
ひぃくんのせいで、私の中学校生活はめちゃくちゃだ。
それでも、嫌いになれない自分が情けない。
小さい頃からずっと一緒だったひぃくん。
とっても変なひぃくんだけど、昔から私にとても優しくしてくれる。
そんなひぃくんを知っているから、どんなに振り回されても嫌いにはなれない。
私は小さく溜息を吐くと、トボトボと一人で住宅街を歩く。
チラリと目線を上げると、道路脇に一人の男の人が立っていた。
私はさほど気にも留めずに、すぐ横を通り過ぎる。
すると突然腕を掴まれ、そのまま脇道へと連れ込まれた。
ーーー!?
な、何!?
パニックになった私は、声も出せずに目の前の男の人を見上げた。
ハァハァと息を荒げる男の人。
「き、君……凄く可愛いね」
私を見てニヤリと笑う男の人。
怖い……。
ガタガタと震えだす身体。
恐怖で声の出なくなった喉は、小さく唾を飲み込んでコクリと音を鳴らした。
に、逃げなきゃ……。
そう思うのに、私の足は地面にピタリと張り付いて動かない。
ハァハァと息を荒げながら、男の人は私へ向けて手を伸ばしてくる。
その瞬間、張り付いていた足がほんの少し動いた。
その勢いのまま、私は背を向けて走り出す。
怖いっ……怖い!誰か助けて……っ!
通りに出る寸前、グイッと腕を引かれて後ろへよろける。
再び捕まった私は、男の人に後ろから抱きつかれた。
