
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第20章 ★お兄ちゃんは心配なんです〜side翔〜
今日も幼なじみの響と一緒にいつもの様に学校から帰宅していると、突然隣から呻き声の様なものが聞こえてきた。
……?
チラリとすぐ隣を歩いている響を見てみると、何やら真剣な顔つきで呻いては首を捻っている。
「……どうかした? 」
お腹でも壊した……?
いつもヘラヘラしている響にしてはやけに真剣な顔つきで、俺はどこか具合が悪いのではと少し心配になる。
「翔《かける》……俺、外人になろうと思う」
「は……? 」
「でも、どうすればなれるのか……わからないんだよねー」
深刻な顔をして、そんな訳のわからない事を告げる響。
何言ってるの……?コイツ
こんな奴心配した俺がバカだった。
俺は大きく溜息を吐くと、響から視線を外して前を向いた。
「ねぇ、どうしたらなれるのかなー? 翔」
「なれる訳ないだろ。お前は日本人だ、バカ」
「えーっ?! どうしよう……それじゃ困るよぉ……」
……何が困るだ。
響の訳の分からない思考に、毎度の様に困らされているのは俺の方だよ。
あーでもない、こーでもないと首を捻って悩む響を横目に、俺は呆れながらも口を開いた。
「何で外人になりたいの? 」
「外人になりたいんじゃないよー」
「……は? 」
お前、さっき俺に外人になるって言ったじゃないかよ……!
響の言葉に若干イラッとしつつも、俺は響を見て笑顔で口を開いた。
「じゃあ……響、お前は何になりたいの? 」
「王子様だよー! 」
満面の笑顔でそう答えた響。
「……へー」
やっぱコイツ……アホだな。
そんな事を思いながら、真顔で棒読みの相槌をする。
