
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第22章 ★お兄ちゃんの受難
だから行く訳ないだろ……バカ響。
必死に花音を口説き落とそうとする響を見て、フッと鼻で笑った俺は再びジュースを口に入れた。
「うん……。じゃあ、行くっ! USO楽しみだねっ! 」
「うん、楽しみだねー」
ーーー!!?ブーッ!
嘘だろっ!? 何考えてるんだよ、花音っ!!
あの夢はまさか……っ正夢になるのか……!?
「ぅわっ!? お兄ちゃん汚いっ! やだもぉー! 」
「翔汚いよーっ! ジュース飛ばさないでよー! 」
足元でワーワーと騒ぎ出す二人を見て、俺は口元のジュースを拭うと花音の肩をガシッと掴んだ。
「……花音っ! お前はバカかっ!? 妊娠するぞっ!? 」
俺の言葉に一瞬驚いた顔をした花音は、その顔を真っ赤に染めあげると口を開いた。
「にっ……にににっ、妊娠て何よっ! ……お兄ちゃんの変態っ!! 」
ポカポカと俺を殴りながらそう言って怒り出した花音。
……変態ってなんだよ。
俺はお前を心配して……。
「翔って……変態なんだねっ」
俺を見てニッコリと微笑んでそう告げた響は、花音に飛び散ったジュースをティッシュで拭き始める。
その姿は何だかやたらとご機嫌そうで……今にも鼻歌まで聴こえてきそうだ。
未だに真っ赤な顔をして怒る花音に視線を移すと、俺は先程見た夢を思い出して真っ青になる。
何でそんなにバカなんだよ……花音。
泊まりってどういう事か解ってるのか……?
「……お兄ちゃんのバカっ! エッチ! 変態っ! 」
「本当だねー。翔はエッチで変態だねー」
真っ赤になって怒る花音の頭を優しく撫でながら、響は呆然とする俺を見てニッコリと笑った。
響なんかに簡単に騙されるなよ……。
お前……USOなんか行ったら絶対に食われるぞ。
解ってるのか……?
……正夢になったらどうするんだよっ。
あんなお前の泣き顔、俺は見たくないんだよ……っ!
響の腕の中にいる花音を見つめ、なんでこんなにバカなんだと愕然《がくぜん》とする。
それでも花音の事が可愛くて心配で放っておけない俺は……。
その後、何時間にも渡ってUSO旅行計画を潰す為に尽力を注いだーー。
ーー完ーー
