
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第4章 君はやっぱりヒーローでした
その後、ひぃくんの連絡で駆け付けてくれたお兄ちゃん。
ーー凄く怒られる。
そう覚悟していたのに……
私を見たお兄ちゃんは、今にも泣き出しそうな顔をして優しく抱きしめてくれた。
そんなお兄ちゃんを見た私は、鼻水を垂らしながら「ごめんなさい」と謝り続けた。
彩奈から事情を聞いた二人は、ずっと手分けして駅前のカラオケ店を探し回ってくれていたらしい。
そんな二人に、私はなんて馬鹿なんだろうと心から反省した。
私をおぶって帰るひぃくんの横顔を見つめ、私は小さく「ありがとう」と呟く。
そんな私を横目に確認したひぃくんは、フワリと優しく微笑んでくれた。
昔から、いつだって私を助けてくれたひぃくん。
男の子に意地悪された時も、痴漢に遭った時も、しつこいナンパに遭った時も……
いつもひぃくんが助けてくれた。
何でそんな事も忘れてしまっていたのだろう。
昔からーー
ひぃくんは私のヒーローだったのに。
目の前のひぃくんにキュッと抱きつくと、私はその優しい温もりに涙を流した。
ひぃくん……ごめんね。
……いつもありがとう。
心地よく揺れる背中の上で、私はそっと目を閉じると黙って自宅へと帰って行ったーー。
