
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第4章 君はやっぱりヒーローでした
その日の夜、中々寝付けないでいた私は少し震える自分の手をキュッと握った。
今日あった出来事が頭の中で何度も再生され、その度に恐怖が蘇ってくる。
あの時ひぃくんが来てくれなかったら、今頃私はどうなっていたのだろう……?
そう考えると、とても恐ろしかった。
考えちゃダメ。そう思うのに、今日の出来事を思い出してしまう。
眠れないよ……。
そう思いながら、ギュッと瞼を硬く閉じた。
ーーその時、
フワリと微かな風が吹いたかと思うと、カチャリと小さな音を立てて閉められた窓ガラス。
その数秒後、ギシリとベッドを軋ませたひぃくんが背後から優しく私を抱きしめた。
「……花音」
耳元で優しく囁くひぃくん。
いつもは私の寝ている間に、いつの間にか忍び込んで来るひぃくん。
まだ午後十時だというのに、今日は私が起きている時間にやって来た。
クルリと後ろに向きを変えると、優しく微笑むひぃくんと目が合う。
「ずっと花音のこと守ってあげるからね」
私を見つめるひぃくんの瞳は、とても優しかった。
私はひぃくんにギュッとしがみつくと、その胸元に顔を埋《うず》めた。
そんな私の頭を優しく撫でてくれたひぃくんは、そっと私の髪にキスをすると「おやすみ、花音」と優しく囁いた。
今日だけはひぃくんに甘えさせて貰おう。
今日だけ……。
今だけだから……。
そう心の中で思った私は、ひぃくんの温もりの心地良さにゆっくりと意識を手放していったーー。
