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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第5章 そんな君が気になります



「絶対に大丈夫だから。どうしても駄目だったら、その時にもう一度考えればいいだろ? ……な?」

お兄ちゃんに説得され、渋々ながら小さく頷く。

「俺も響もいるし、絶対に守ってあげるから。……大丈夫だよ」

そう言って優しく頭を撫でてくれるお兄ちゃん。

大体、私をこんなに追い詰めたその張本人は何処にいるの?

「お兄ちゃん、ひぃくんは今どこにいるの?」

グズグズと涙を拭きながら、目の前のお兄ちゃんを見上げてそう訊ねる。

「あぁ……たぶん告白されてるんだろ。さっき女子に呼ばれてどっかに行ったよ」

告白……。
告白されてるんだ……ひぃくん。

そんなの今に始まった事ではない。
昔からモテるひぃくんは、よく女の子に告白されていた。

だけど……
何だろう、この胸のモヤモヤは。

今まで考えた事もなかったけど、いつかひぃくんにも彼女ができるのだろうか?
そう思うと何だか悲しい。

幼なじみを取られる気がして寂しの……かな。
何だかよくわからない。

もしかしたら、今会っている人と付き合ってしまうかもしれない。
そう思うと、気になって気になって仕方がなかった。

何だかよくわからない胸のモヤモヤに、私は少し後悔した。
……お兄ちゃんに聞くんじゃなかった。

もう忘れよう。
そう思うと、涙を拭いた私はパッと笑顔になる。

「私、戻るね。お兄ちゃん、さっきはありがとう」
「ん。じゃあお昼にまたな」
「うん、あとでね」

私はそう言うと中庭を後にしたーー。

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