
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第5章 そんな君が気になります
「お兄ちゃん……私もう学校辞める」
「は……?」
「だって……もうっ、もう学校行けないよー!」
泣き出した私に焦るお兄ちゃん。
私達は今、誰もいない中庭に来ていた。
晒《さら》し者になっていた私を、お兄ちゃんが連れ出してくれたのだ。
あの後、マイクを借りて訂正してくれたお兄ちゃん。
『今のは嘘です!』
そう宣言するお兄ちゃんに『嘘じゃないよー』と言い出すひぃくん。
物の言い方ってものをもう少し考えてもらいたい。
結局、おやすみのハグをしてるって事で話しは落ち着いた。
さすがに、毎日一緒に寝ているとは言えない。
『昔からハグしてるんです。俺も響と毎日してます』
そう言って、身体を張って実演までしてくれたお兄ちゃん。
その光景に、周りの女の子達からは歓喜の悲鳴が上がった。
それでもやっぱり、一部の女の子からは私に対しての反感の声が上がっていた。
訂正してくれたお兄ちゃんの言葉も、皆がどれだけ信じてくれたかはわからない。
もしかしたら信じていないかも……。
そう考えると、もう学校は辞めるしかないと思った。
反感を買い白い目を向けられ、好奇の視線を浴びる……
そんな四面楚歌な状況を想像すると、恐ろしくて耐えられない。
「大丈夫だって、花音。絶対に大丈夫だから」
身体を張ってくれたお兄ちゃんには申し訳ないけど、全然大丈夫なんかじゃない。
「無理ぃ……っ」
中々泣き止まない私に、困り果てたお兄ちゃんは小さく溜息を吐く。
「……花音、学校辞めたら後悔するぞ? 大体、学校辞めてどうする気なんだ?編入するのか?就職でもするのか?」
急に現実的な話をしだしたお兄ちゃんに、何も答えられない私は口を噤《つぐ》む。
「何も考えてないんだろ? ……学校を辞めるって事はそうゆう事なんだぞ?」
そんな正論言われたら何も言えないじゃないか……。
