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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第6章 君はやっぱり凄く変



支度のできた私がリビングへ戻ると、そこには既にひぃくんが待っていた。
ヒラヒラと手を振るひぃくんは、私に近付くと口を開く。

「じゃあ行こっかー」

ニコニコと微笑むひぃくんは、私の手を取るとそう言って歩き始めた。

あれ……?

「ひぃくん、玄関あっちだよ? 」

私の声に振り返ったひぃくんは、フニャッと笑うとそのままリビングを歩いて行く。

……?

玄関とは反対方向へと歩いて行くひぃくん。
訳のわからない私は、とりあえず黙って付いて行く。

ひぃくんに連れられて何故か庭へと出た私は、目の前の光景を見て絶句した。

え……?

ジョボジョボと流れる水の音。

こっ、これは……。
まさ……か……。

まさかと思いながらも、ひぃくんへ向けてゆっくりと視線を動かす。

「ひぃくん……これは、一体何……?」
「え? プールだよー」

ニッコリ笑って平然と答えるひぃくん。

……え、嘘でしょ?
冗談キツイよ、ひぃくん……。
思わず顔を引きつらせたまま、小さく声を漏らして笑ってしまった。

庭に置かれた子供用のビニールプール。
ホースからは水が流れ、ビニールプールへと注がれている。

あぁ、これまだあったんだ。
昔お兄ちゃん達と一緒に遊んだな……。
一瞬、そんな昔を思い出す。

「花音、早くおいでー」

ホースを持ったひぃくんが、ニコニコと微笑みながら手招きをする。

「ひぃくん……まさか、これに入れと?」

冗談だよね?
そうだよね……?
私は顔を引きつらせながらも、ひぃくんを見てぎこちなく笑う。

冗談だと言ってください。
そんな願いを込めて……。

「そうだよ?花音の為のプール」

何でだよ……っ!
思わず心の中でツッコんでしまう。

目の前には幸せそうに微笑むひぃくん。
私は、立ち尽くしたまま全く動けないでいた……。

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