
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第7章 君は私の彼氏でした!?
「二人とも凄く可愛いねー」
「二人で来たの?」
彩奈と二人で海に入っていると、いつの間に来たのかチャラそうなお兄さん達。
勝手に私の浮き輪に掴まっている。
「おに……」
「鬼……?」
お兄ちゃんと来てると言おうとした私は、途中でその言葉を止めた。
お兄ちゃんと来てるって言うより、彼氏って言った方がいいのかな……?
以前に彩奈が言っていた嘘を思い出したのだ。
チラリと彩奈を見ると、嫌そうな顔をしながらもう一人のお兄さんと会話をしている。
「ねぇねぇ、何でTシャツ着たまま海に入ってるの?」
浮き輪に掴まるお兄さんに視線を戻すと、私と目の合ったお兄さんはニコリと微笑んだ。
ですよね……。
変ですよね。私だって聞きたい。
何でTシャツ着なきゃいけないの?
私は小さく溜息を吐くと、お兄ちゃん達の方を見る。
ーーー!?
海岸にできた人集《ひとだか》りを見て驚いた。
一点に集中してできた沢山の女の人達の群れ。
その中心には、お兄ちゃんとひぃくんがいる。
最悪だ……。
お兄ちゃんに何とかしてもらおうと考えていた私。
どうやら自分で対処しなければならないらしい。
目の届くところにいろって言ってたくせに……
全然見てないじゃんっ!
「水着忘れちゃったの?」
「……えっ!?」
お兄ちゃん達から視線を移すと、ニッコリと微笑むお兄さんと目が合う。
「あっ……水着はちゃんと着てます」
「そうなの? じゃあ脱いだら?」
脱げるなら脱ぎたいです……。
でも脱げないんです……お兄さん。
私は黙ったまま目の前のお兄さんを見つめた。
「見たいなー水着。見せてよ」
ーーー!?
そう言って私の足に触れるお兄さん。
「え……っ!?」
そのまま私の着ているTシャツを脱がそうと、足元からTシャツを捲り上げた。
手……手が腰に……っ!
ツーッと腰をなぞられる様に触れられ、私の身体からは一気に血の気が引く。
「やっ……やめて下さいっ!」
「大丈夫、大丈夫ー」
そう言ってニコニコと微笑むお兄さん。
慌てて片手でお兄さんの手を抑えると、
泳げない私は片手でしっかりと浮き輪に掴まりながら、その場でジタバタと暴れ出す。
