
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第7章 君は私の彼氏でした!?
ヤダヤダヤダヤダ!
全然大丈夫じゃないよっ!
触らないでっ!
「ごめんごめん、そんなに暴れないでよ」
アハハッと笑うと、すんなり手を離してくれたお兄さん。
そんなに悪い人ではないみたい。
解放されてホッとした私は、再び両手でしっかりと浮き輪に掴まる。
ーーとその時、グンッと身体が動いたかと思うと、浮き輪ごと身体が後ろへ持っていかれる。
目の前のお兄さんは一瞬驚いた顔を見せると、私の背後を見て口を開いた。
「この人が……鬼? 鬼ってゆーより……王子様かな?」
ニッコリと微笑むお兄さん。
その言葉に後ろを振り返ってみると、私のすぐ後ろにはひぃくんがいた。
私の浮き輪を片手で掴んだまま、目の前のお兄さんを鋭く睨みつけるひぃくん。
ちょっと怖い……かも。
普段は見せない表情をするひぃくんに、私は何だか少し萎縮してしまう。
さっきまで海岸にいたのに……
来てくれたんだーー。
私の視線に気付いたひぃくんは、直ぐに優しい瞳になるとニコリと微笑んだ。
「花音、大丈夫?」
「……うん」
ひぃくんの優しい声と表情に、安堵した私は硬くなっていた身体から力を抜いた。
彩奈の方を見ると、そこにはお兄ちゃんの姿が。
どうやらお兄ちゃんは彩奈を助けてくれたみたい。
二人共ちゃんと来てくれたんだ……。
