
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「どうしてひぃくんがいるの……」
目の前でニコニコと微笑むひぃくん。
今日は地元で花火大会がある為、私は彩奈の家で彩奈のお母さんに浴衣を着付けてもらった。
そこへ迎えに来たのがお兄ちゃん。
と、何故かひぃくん。
ちゃっかり浴衣まで着ている。
「花音、浴衣可愛いー」
「何でひぃくんまでいるのよ」
ジロリと目の前のひぃくんを見る。
私は彩奈の家に行くとはひぃくんに一言も言っていない。
何で知ってるのよ……。
「デートは一人じゃできないよー、花音」
そう言って小首を傾げてニッコリと微笑むひぃくん。
「デートじゃないよっ!……だいたい、私達付き合ってないからね?!」
お兄ちゃんに聞いたんだからっ。
……もう騙されないもん。
騙すなんて酷いよ、ひぃくん。
私怒ってるんだからね!
キッとひぃくんを睨みつける。
「……離婚はダメ……ダメだよ、花音。離婚だなんて言わないでっ!」
真っ青な顔をしたひぃくんは、ガタガタと震えて私を見つめる。
まるで捨てられた仔犬のような瞳のひぃくん。
今にも泣き出しそうなその顔に、私は小さく溜息を吐くとお兄ちゃんを見た。
なんで連れて来たのよ……
お兄ちゃんのバカ。
怨めしい気持ちで見つめると、私の視線に気付いたお兄ちゃんが口を開いた。
「仕方ないだろ……。勝手に付いて来たんだよ」
お兄ちゃんはそう言うと、ウンザリしたように溜息を吐く。
