
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「……おい、聞いてるのか花音」
「えっ……?!」
実は肩に置かれたお兄ちゃんの手をジッと見ていた私。
だってその手にはりんご飴が握られていたから……。
「お前今りんご飴見てただろ……」
ギロリと私を睨むお兄ちゃん。
「み、見てない! 見てないよー。お兄ちゃんてば、嫌だなぁ!」
引きつる顔でアハハッと笑って誤魔化すと、そんな私を見たお兄ちゃんは大きく溜息を吐いた。
「……子供かよ」
「……子供ね」
彩奈と二人で呆れた顔をするお兄ちゃん。
何も返す言葉がありません……。
「ーー花音! 急に走っちゃダメだよー。どこも怪我してない?」
そう言いながら、焦った顔をして駆け寄るひぃくん。
あ……。
ひぃくん置いてきちゃってた。
ひよこを取ってもらっておいて、そのままひぃくんを置いてきた私。
なんて最低なんだろう……。
「ひぃくん……ごめんね」
申し訳なく思い謝る。
シュンとして俯いていると、ひぃくんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「花音が無事ならいいよ。りんご飴食べたかったんだもんねー」
そうなの……。
食べたかったの、りんご飴。
でも、だからって最低だよ……私。
優しく微笑むひぃくんに胸が痛む。
「私のりんご飴……半分コする?」
ひぃくんへの謝罪に、そんな事しか思い浮かばない私。
そんな私の言葉に、ひぃくんは目を見開いて固まってしまった。
やっぱり……りんご飴なんていらないよね。
「ひぃーー
「ホントに?! いいの?!」
やっぱり辞めようと口を開いた瞬間、私の肩を掴んだひぃくんが、目をキラキラと輝かせてそう言った。
