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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



「えっ……あ、うん」

ひぃくんそんなにりんご飴好きだったっけ?
異常に喜ぶひぃくんを見て、少し呆気に取られる。

「じゃあ、全部半分コしようね!」
「ぜ、全部って……?」

私の目の前でニコニコと微笑むひぃくん。

全部って……
もしかして食べ物全部?

「全部だよー? 食べる物全部。その方が色々食べられるよ?」

小首を傾げたひぃくんは「ね?」と言って私を見てくる。

んー確かにそうかも……。
色々食べたい物があるし、ちょうどいいかもっ!
そう思った私は、途端に目を輝かせる。

「うんっ! そうだね、ひぃくん天才!」

ひぃくんを見上げて笑顔でそう答えると、ひぃくんはフニャッと笑って私を抱きしめた。

ーーー?!

「おい、何でそこで抱きつくんだよ」

黙って傍観していたお兄ちゃんは、そう言うと私からひぃくんを引き離した。

ビックリした……。

不覚にもドキッとしてしまった。
相手はひぃくんなのに……。
ドキドキと高鳴る胸を抑えると、目の前のお兄ちゃん達をチラリと見る。

すると、お兄ちゃんに腕を掴まれたままのひぃくんが、ニコニコと嬉しそうな顔で口を開いた。

「だって花音が俺の事好きって言うから、可愛くてー」
「……いや、言ってないだろ。お前の耳はどーなってんだよ」

ニコニコと微笑むひぃくんに、お兄ちゃんは呆れた顔をして溜息を吐く。

お兄ちゃん……
ひぃくんがおかしいのは耳じゃなくて頭だよ……。
私はひっそりとそんな事を思った。

勉強はできるくせに、どこか頭のネジが緩んでるひぃくん。
これは一生治らないんだと思う。

落ち着きを取り戻した胸から手を離すと、私はお兄ちゃんに向けて口を開いた。

「お兄ちゃん、りんご飴食べたい」

私の言葉に何故か溜息を吐いたお兄ちゃんは「わかったよ」と言って私にりんご飴を渡してくれる。


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