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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



そして再びベンチへ逆戻りした私。

私の隣では、彩奈が心配そうな顔をして私を見ている。

「花音……大丈夫?」
「うん、何かもう治ったみたい」

顔を上げてお兄ちゃん達の方を見ると、心配そうにチラチラとこっちを見ているお兄ちゃんがいる。

一緒に付いてこようとしたお兄ちゃんを止めて、私は彩奈と二人でベンチへ来た。
せっかく友達と楽しそうにしているのに、何だか連れ出すのは申し訳なかったから。

チラリとひぃくんに視線を移すと、相変わらず女の先輩がひっついていた。

それを見た私は、何だかまた胸が苦しくなってくる。

「あ……また胸が苦しくなってきた……どうしよう、私死ぬの……?」

ひぃくんを見つめたままそう言うと、私の視線を辿った彩奈が溜息を吐いた。

「ねぇ……それって、響さんを見ると苦しくなるんじゃない?」

す、凄いっ。
何でわかるの?……その通りだよ。

「うん……苦しい、助けて」

苦痛に顔を歪めると、彩奈は私を見て溜息交じりに口を開いた。

「……響さんが好きって事だよ、バカ」

彩奈の言葉に思わず顔が引きつる。

そんな訳ないじゃん……
何言ってるの?
酷いなぁ……バカだなんて……。

引きつった顔でぎこちない笑顔を作ると、小さく笑い声を漏らす私。

「あの女の先輩が気になるんでしょ? 」
「……うん」
「可愛いもんね、あの先輩」
「……うん」
「響さんの事好きだよ、あの人」
「えっ……」

彩奈の言葉に、ショックで固まってしまった私。

あんなに可愛い人が……
ひぃくんを好きなの?

「あのまま二人が付き合ってもいいの?」

胸がズキズキする。
お願い……やめて、彩奈。

「付き合っちゃうかもね、あの二人」
「やっ……やだっ!」

泣きそうな顔をして大声を出すと、そんな私を見た彩奈はクスリと笑った。

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