
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「可愛いねー。俺と付き合わない?」
私の顔を覗き込む先輩は、そう言うとニッコリと笑った。
私……今告白されたの?
……人生で初めて告白されたよ。
初めての告白に感動していると、横からグイッと肩を抱き寄せられる。
「……手、出したら殺すよ?」
その声に頭上を見上げると、ニッコリと微笑むお兄ちゃんが。
笑ってるけど……その顔は鬼だ。
「お友達も可愛いねー。俺と付き合わない?」
今度は彩奈に告白する先輩。
なんて変わり身の早い人なんだろう……。
私の感動を返してもらいたい。
「この子もダメだから」
お兄ちゃんは左手で彩奈の肩を抱くと、そう言って先輩から遠ざける。
少し俯いている彩奈は、何だか顔が赤い気がする。
どうしたんだろう……。
あ……鬼が怖いのかな?
チラリとお兄ちゃんを見上げると、そこにはやっぱり鬼がいた。
怖いよね、私も怖いもん。
ごめんね……彩奈。
「ーー花音」
突然呼ばれた声に視線を移すと、そこにはニコニコと微笑むひぃくんの姿が。
その腕には女の人がひっついている。
何してるの……?
ニコニコと微笑みながら、こっちへ向かって来ようとするひぃくん。
それを必死に引っ張って止めている女の人。
よく見ると、とても可愛い人だった。
……何だか胸が痛い。
チクチクとしだした胸に顔を歪める。
何これ……。
私、死ぬの……?
「お……お兄ちゃん……苦しい……」
「……えっ?!」
お兄ちゃんの胸に顔を埋《うず》めてそう訴えると、頭上でお兄ちゃんの焦った声が聞こえた。
