
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第9章 君は変な王子様
私の学校では、もうすぐ二日間に及ぶ学園祭が開催される。
という事で、毎日忙しく過ごしている私。
一週間後に迫った学園祭に、毎日の様に放課後は居残って作業をしている。
それは私のクラスだけではなく、ほとんどの学年、クラスがそうだった。
勿論、お兄ちゃんやひぃくんも。
ひぃくんのクラスでは、中世ヨーロッパをイメージした衣装を着る、中世喫茶というものをやるらしい。
お兄ちゃんのクラスでは何をするのかと聞くと、お兄ちゃんは「教えない」と言って顔を引きつらせていた。
「絶対に来るな」と一言も添えて。
私達のクラスでは、ウサギや猫耳を付けたアニマル喫茶をやるのだけれど……
勝手にウサギに決められてしまった。
本当は猫がやりたかった私。
コスプレ店で借りてきた衣装は、ウサギだけやたらと露出度が高かった。
だから嫌だったのに……。
何故か勝手に決められてしまった。
理由は簡単、小さいサイズしかなかったから。
私しか着れる人がいなかったのだ。
だったらいっそ、ウサギなんて無しにすればいいのに。
お兄ちゃん達に見つかったらどうしよう……。
私は小さく溜息を吐くと、ペンキの付いた筆をダンボールにベチャッと下ろした。
「花音……雑すぎ」
彩奈が溜息を吐きながら私をジロリと見る。
どうせ塗り潰すだけだからいいじゃない……。
「猫にはウサギの気持ちはわからないよ……」
口を尖らせた私は、ベチャベチャとペンキを塗りながら小さく溜息を吐いた。
「いいじゃない、ウサギ。猫よりウサギって感じだし」
「全然良くないよー。何あの水着みたいなやつ……」
泣きそうな顔で訴えると、彩奈は「確かにアレはね……」と同情する顔を見せた。
