
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第11章 君ととんでもナイト
「全然わからない……」
そう小さく呟いた私は、机の上に広げた教科書に突っ伏した。
来週に迫った期末テストへ向けて、珍しく勉強をしている私。
……でも、全くもってわからない。
何で数学なんてやらなきゃいけないの?
足し算引き算、掛け算割り算ができれば充分だと思う。
私は顏を上げて教科書を眺めると、盛大な溜息を吐いた。
お兄ちゃんに聞くしかないかな……。
できればスパルタなお兄ちゃんには聞きたくない。
でも、一人では絶対にできない。
このままでは数学のテストで赤点を取ってしまう。
諦めた私は、小さく溜息を吐くと椅子から立ち上がる。
ーーーカラッ
教科書を持って歩き出そうとしたその時、鍵の開いている窓からひぃくんが入ってきた。
「ーー花音、まだ起きてるのー?」
その言葉に時計を見てみると、もう午後十一時を過ぎている。
いつも午後十時までには必ずベッドへ入る私。
きっと、こんな時間まで明かりの付いている私の部屋を不思議に思ったのだろう。
「……勉強してたの。でも全然わからなくて……」
私がしょんぼりとした顔でそう告げると、ひぃくんはクスリと笑って口を開いた。
「じゃあ教えてあげるよー?」
フニャッと笑って小首を傾げるひぃくん。
