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風に吹かれて

第21章 かにむかし

「さるとかに」←タイトル違う
めっちゃ可愛いかった!
ナレーションも落ち着いた優しい声が凄く良かった〜。

はあ〜…と幸せな溜め息の後、いつものようにリピして。

でも…段々と辛くなって来た。

可愛らしい子ガニが、何度も繰り返す「ニクイ!!」を聴いているうちに、13歳の自分が蘇って来て。

もう思い出すことも無くなってたのに、なんで今頃?と思う。

これも断捨離なんだろう。

楽しい話ではないので恐縮だけど、必要があると思ったので、形にしてみたい。





13歳のあの一年間。
毎日地獄だった。

朝、登校するとカバンから上履きを取り出す日々。
下駄箱に入れたまま下校すると、翌朝には捨てられて無くなってるから、毎日持ち帰ってた。

机には「死ね」「ブス」「消えろ」の落書き。

教室中の壁にも書かれたし、全校生徒が使う音楽室や理科室、家庭科室にも書かれて。
学校で私の名前を知らない生徒は、多分一人も居なかった。

机に乗せられた死んだ魚。
山積みにされた雑巾。
カバンを開けるとゴミが入ってて。

私とすれ違う時に同じクラスの男子は大声で「臭え!」と言った。

まだ「いじめ」という言葉が世間に浸透していなかった当時、それは入学後間もなく始まり、進級する直前の翌3月まで続いた。



何故そうなったのか、全く心当たりがなくてねえ。

どうやらクラス女子のリーダー格のコが私を激しく嫌っているらしいことと、男子も含めてクラスの大半が彼女に賛同しているらしいことだけが、肌で感じられた。

思い当たることもないし、誓って自分は悪いことをしていない。
だから、私が小さくなる必要はないんだ。

そう思ったから、毎日平気な顔をしてて。
そのうち、クラスには話し相手が居なくなった。

毅然としていよう、といつも自分に言い聞かせながら、当然しんどい。
だけど、親にも教師にも、誰にも相談しなかった。
彼らが頼りにならないことを知っていた。



もしかしたら。
こんなに盛大にやられているのだから、誰かが気付いて声を掛けてくれるんじゃないか。

13歳の女の子はどうしても期待してしまったけど、私の味方は一人も居なかった。

「憎い 死ね!!」

学校のどこに居ても視界に必ず入って来る私宛の言葉。
別に世界中が私を憎んでいるわけじゃない。
そう冷静に考えてみたけど。
普通に地獄だった。

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