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銀河巡礼

第15章  一の月 Ⅱ




彼はブルースを歌っていた
土星の輪にある小さなバーで
ちびりちびりと
バーボンを飲みながら


歌うほどにしゃがれた声は
気だるく熱をおび
その眼差しは
窓の遠く金星に注がれる



愛した娘が歌うアリアを
思い出してでもいるのだろうか…



今夜も
彼のブルースは少し せつない






~ブルース


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