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果実

第1章 モデルの依頼

相変わらず芙紗子はアルバイトに忙しい。
「そうだ 芙紗子 優一先輩に助けてもらおう」
明美は言った。
「優一先輩って?」
「有栖川家の長男」
お金持ちだよ。

明美と優一は同じ美術学校に通っていた。
「あれ 君何処かで」
「舞踏会でお会いしました」
「芙紗子の家今凄い困っていて」

「そうなんだ それは大変だね」
「はい」
「家で出来ることは何か無いか考えておくよ」
優一先輩は言った。
明美は話し始めた。

数ヶ月が過ぎた。
「みんな おはよう 元気ー?」
明美が可愛らしく挨拶する。
「おはよう 明美」
「今日も可愛いね」
明美の周りには女生徒が群がる。
明美は芙紗子を手招きした。

「それでね 芙紗子 優一先輩が話があるって」
「話?」
「お願いだって」
「何だろう」
「いいなあ 芙紗子 モデルの話だよ 多分」

明美の通う美術教室に行った。
彼は顔を上げ、芙紗子に向かって微笑もうとしたが、その表情は冴えない。
「ああ芙紗子ちゃん忙しいのにごめん」
「いやいいんです それより何か御用ですか」
「実はね、どうもスランプで… 新しいモデルがほしいんだよ」
「モデルですか」
「やってくれない?とりあえずさっと仕上げるから」
「はい」
 優一は芙紗子を描き出した。
「仕事忙しいんだって?」
「はい 家計が苦しくて」


芙紗子は正直に言った。
「頼みがあるんだけど いいバイトがある モデル 今やってるバイト位出すよ」
「モデルですか」
いい話だ。
「ただし、裸婦」
「裸婦……?」芙紗子ははっと顔になる。
「それって、もしかして、ヌードですか?」
「ヌードモデル。」
こともなげにそう言った。

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