数珠つなぎ
第2章 君を離さない
コンコン……
「どーぞ」
部屋から俺を招き入れる声が聞こえた。
「失礼…します」
軽いはずのドアが俺の心と同じように重く感じる。
そのドアを押し開けると、アンティーク調のデスクに肘をつき、入ってくる俺をニヤニヤ見つめるオーナーの櫻井の姿。
そしてデスクの前まで行くと、嬉しそうにオーナーが話し始める。
「昨日、二宮くんが来てね……ここで働くって」
嬉しさで緩みっぱなしのオーナーの頬を殴りたい。
そしてその決意をニノにさせてしまった俺自身も。
力を込めた掌にグッと自分の爪が食い込むが、怒りで痛みを感じない。
「怒ってるの?」
俺の感情がどういう状況なのか知ってて聞いてくる。
「いえ……」
そしてそれをそのまま伝えられないのを知っているのに。
「えぇー!怒んないのー?恋人がこんな商売すること……止めてもいいんだよー?」
止めることが出来ないのを誰よりもわかっているのは他でもないオーナーだ。
それでもわざと俺を怒らせるようなことを言ってくる。
その挑発に乗ってはいけないとわかっているのに……
「てめぇ……」
手が勝手に伸びて胸倉を掴んで引き寄せた。
「殴るの?」
甲高くふざけていた声から、一気にドスの効いた声を発して俺を睨みつける。
俺はオーナーの身体を押しつつ、手を離した。
その勢いで椅子に腰かけ、その反動でキャスターが動いて移動した。
「まぁ、止めたらアイツは破滅だけどね?」
ニヤリと笑うオーナーに背筋に寒気が走った。
「どういう意味だよ……」
俺が破滅するのはわかってる。
でもどうしてニノが破滅するんだ?
テーブルに手を伸ばしてグッと掴むと、引き寄せられるように椅子が移動した。
そして胸ポケットから一枚の髪を俺に見せた。
それは俺が持っているものと同じ。
「な…なんで……」
ただ1か所だけ違うところがあった。
「どーぞ」
部屋から俺を招き入れる声が聞こえた。
「失礼…します」
軽いはずのドアが俺の心と同じように重く感じる。
そのドアを押し開けると、アンティーク調のデスクに肘をつき、入ってくる俺をニヤニヤ見つめるオーナーの櫻井の姿。
そしてデスクの前まで行くと、嬉しそうにオーナーが話し始める。
「昨日、二宮くんが来てね……ここで働くって」
嬉しさで緩みっぱなしのオーナーの頬を殴りたい。
そしてその決意をニノにさせてしまった俺自身も。
力を込めた掌にグッと自分の爪が食い込むが、怒りで痛みを感じない。
「怒ってるの?」
俺の感情がどういう状況なのか知ってて聞いてくる。
「いえ……」
そしてそれをそのまま伝えられないのを知っているのに。
「えぇー!怒んないのー?恋人がこんな商売すること……止めてもいいんだよー?」
止めることが出来ないのを誰よりもわかっているのは他でもないオーナーだ。
それでもわざと俺を怒らせるようなことを言ってくる。
その挑発に乗ってはいけないとわかっているのに……
「てめぇ……」
手が勝手に伸びて胸倉を掴んで引き寄せた。
「殴るの?」
甲高くふざけていた声から、一気にドスの効いた声を発して俺を睨みつける。
俺はオーナーの身体を押しつつ、手を離した。
その勢いで椅子に腰かけ、その反動でキャスターが動いて移動した。
「まぁ、止めたらアイツは破滅だけどね?」
ニヤリと笑うオーナーに背筋に寒気が走った。
「どういう意味だよ……」
俺が破滅するのはわかってる。
でもどうしてニノが破滅するんだ?
テーブルに手を伸ばしてグッと掴むと、引き寄せられるように椅子が移動した。
そして胸ポケットから一枚の髪を俺に見せた。
それは俺が持っているものと同じ。
「な…なんで……」
ただ1か所だけ違うところがあった。