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数珠つなぎ

第5章 お前らを逃さない

パソコンのデスクトップに映し出されるVIPルームの部屋の様子。


そこには4人の姿。


ベッドに座り二宮の肩を抱き寄せる智。

その前に立つ相葉と潤。


救うことが出来なかった二宮を前に、3人はどんな気持ちでそこにいる?


絶望?

それとも……怒り?


それは自分自身に対してなのか……

それとも俺に対してなのか……


俺は咥えていた煙草を吸い込むと、煙をデスクトップに吹き付けた。


お前らは綺麗すぎるんだよ……

この煙のように真っ黒になれば楽なんだよ。



煙はスッと消えて、何も変化することなくデスクトップに4人の姿が映し出されたまま。



本当にコイツらは汚れない。


罵れよ。

お前のせいだって。

責め立てろよ。


どこまでも純粋で真っ直ぐ。

そして誰かの為に自分を犠牲にする。


なんでなんだ?

どうしてなんだ?


考えれば考えるほど、俺を4人が追い詰めていく。


だからこそ4人を壊したくなる。



なぁ、早く汚れてくれよ?



デスクトップに4人で抱き合う姿。

「なんで……なんでなんだよ!」

俺は力任せにパソコンを閉じた。



もしこのままコイツらが何も変わらなかったら?


そんなの絶対に有り得ない。

あっちゃいけないんだ。



じゃあ、どうして……俺はこんな風になったんだ?



コイツらみたいなヤツが傍にいたら、俺の人生は変わっていたのか?

俺の未来は変わっていたのか?

誰かの温もりを隣で感じていたのか?



そんな未来が俺にあるはずない。

コイツらにもある筈ないんだ。


目の前に映し出されるコイツらは、俺が手に入れなれモノを持っている。


友情?


愛情?


絆?


金では買えないもの、実態のないものになんの価値がある?

そんなもの必要ない。



見せつけられるのは……不愉快なんだよ。


だって俺は……

俺は……


引き出しを開け、1枚の写真を取り出した。


ねぇ、俺は間違ってるの?


俺の問いかけに、写真に写る人は笑ったまま何も答えてくれなかった。

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