数珠つなぎ
第7章 俺も愛されたい
パチパチと焼ける音、そして炎が大きくなっていく。
体力は限界。
そして感覚も異常をきたす。
火が近づいてきているのに、身体は熱さを感じず寧ろ寒い。
最後くらい火でもいいから、温かさに包まれたかったな。
『おいおい……俺があげたのを投げるなよ』
ずっと聞けなかった……
ずっと聞きたかった声が聞こえ、上がらなかった首は簡単に動いた。
俺の目の前に立っていたのは黒のロングコートに身を包む男性。
「しゃ……社長」
『もう、社長じゃねーよ』
豪快に笑う姿はあの頃と変わらない。
タバコを取り出し、口に咥えると俺が投げたジッポーで火をつけた。
『お前……よく、頑張ったな』
社長と離れ、自分が上に立ってから当たり前だか誰にも褒められたことはない。
まぁ、褒められるようなことは何一つしてこなかったけどね。
「やけに……褒めてくれますね。何かご要望でもあるんですか?」
『ホント、オメーは素直じゃねーな』
簡単に素直になんてなれない。
ずっとあなたには本心を隠して生きてきたんだから……
『一緒に……来るか?』
「えっ?」
……どういう事?
必死に言葉の意図を考える。
『グダクダ詮索するのはお前の悪い癖だ。まぁ、仕方ないけどな』
大きな手が俺の目の前に伸びてきた。
『俺についてこい』
力強い眼差しで俺を見つめる。
いつもその瞳が、俺の行くべき道へと導いてくれた。
でも、その先は孤独だった。
「いい……の?」
『俺の言う事が聞けないか?』
俺は首を何度も横に振った。
ゆっくりと手を伸ばすと、温かい手に身体を引っ張りあげられる。
『離れていた分、たくさん愛してやるよ』
「社長……」
『もう社長じゃない、名前で呼べ』
顎を掴むと綺麗な顔が目の前に来る。
「昌宏…さん」
1度だけ呼んだ名前。
『翔』
きっともうこの名前はあなたしか呼んでくれない。
互いの名を呼んだ唇が重なった瞬間、俺はようやく温かさに包まれた。
体力は限界。
そして感覚も異常をきたす。
火が近づいてきているのに、身体は熱さを感じず寧ろ寒い。
最後くらい火でもいいから、温かさに包まれたかったな。
『おいおい……俺があげたのを投げるなよ』
ずっと聞けなかった……
ずっと聞きたかった声が聞こえ、上がらなかった首は簡単に動いた。
俺の目の前に立っていたのは黒のロングコートに身を包む男性。
「しゃ……社長」
『もう、社長じゃねーよ』
豪快に笑う姿はあの頃と変わらない。
タバコを取り出し、口に咥えると俺が投げたジッポーで火をつけた。
『お前……よく、頑張ったな』
社長と離れ、自分が上に立ってから当たり前だか誰にも褒められたことはない。
まぁ、褒められるようなことは何一つしてこなかったけどね。
「やけに……褒めてくれますね。何かご要望でもあるんですか?」
『ホント、オメーは素直じゃねーな』
簡単に素直になんてなれない。
ずっとあなたには本心を隠して生きてきたんだから……
『一緒に……来るか?』
「えっ?」
……どういう事?
必死に言葉の意図を考える。
『グダクダ詮索するのはお前の悪い癖だ。まぁ、仕方ないけどな』
大きな手が俺の目の前に伸びてきた。
『俺についてこい』
力強い眼差しで俺を見つめる。
いつもその瞳が、俺の行くべき道へと導いてくれた。
でも、その先は孤独だった。
「いい……の?」
『俺の言う事が聞けないか?』
俺は首を何度も横に振った。
ゆっくりと手を伸ばすと、温かい手に身体を引っ張りあげられる。
『離れていた分、たくさん愛してやるよ』
「社長……」
『もう社長じゃない、名前で呼べ』
顎を掴むと綺麗な顔が目の前に来る。
「昌宏…さん」
1度だけ呼んだ名前。
『翔』
きっともうこの名前はあなたしか呼んでくれない。
互いの名を呼んだ唇が重なった瞬間、俺はようやく温かさに包まれた。