テキストサイズ

同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

「な…!」

「まだ。ここで立ったら、余韻を楽しんでる人の迷惑…だろ?」

「く…っ!!」

だからさ!!耳元で話すんじゃねぇって!!

しかも今度は腕を回して、ヘッドロックされてる状態で…

身動きがとれない。

「オッケー、分かった。だから離せ」

「駄目。おとなしくしてろ」

言葉の通り、腕はそのままで。

そのせいで拓海にもたれ掛かってるみたいな体勢で。

拓海との身長差と、女物っぽいキャスケット帽。

後ろからなら男女のカップルに見られてるだろう。

それでこんな体勢なら、何か…

傍目からすればカップルがイチャついてるとしか見えないんだろうな。

そう思うと…うんざりする。

もう…どうにでもなれ、だ。

ため息をつくと、拓海に凭れたまま視線を前に向けた。

外人のスタッフの名前が下から上に流れていくのを、ただ黙って見ていた。

こんなん…感動もクソもないけどな!!


ストーリーメニュー

TOPTOPへ