テキストサイズ

甘い鎖~縛られて溶かされる~

第8章 奪われて…

「う…ふっく…」



涙が止まらず、嗚咽が漏れる。



あたしが力を抜いたのがわかると、志桜さんは手を離した。



彼が少し顔を離した瞬間に、あたしは力いっぱい彼の肩を押して引き離した。



「優依!」



あたしは志桜さんの懐から抜け出し、ベッドから飛び降りる。



だけど、ドレスの裾に足がもつれてそのまま床に転んだ。



「いった…」



「駄目だよ、優依。気をつけないと、怪我をする」



背後から志桜さんの声がしてゾッとした。



彼の腕が伸びて、あたしの胸とお腹に巻きついてくる。



ゾクゾク…



「う…あ…」



背後から抱きしめられて、耳に口付けられる。



「逃がさない」



志桜さんはあたしの耳に舌を這わせながら歯を立てる。



「や…あぁ…」



ゾクゾクゾク…



逃、げられ、ない…



志桜さんはあたしの頬をつたう涙を指でなぞる。



「ねえ、このまま床でしてもいいの?」



彼は面白がるようにあたしに笑いかける。



あたしは首を横に振った。



どうせ逃げられないなら、終わるまで我慢すればいいんだ。



だけど、せめてベッドがいい。



立ち上がろうとすると、志桜さんはあたしの体を支えた。



あたしは黙ってベッドに這い上がる。



こんなの、すぐに終わる。



あたしが志桜さんをまっすぐに見据えると、彼はにっこりと笑った。



「もう抵抗しないんだ」



「は、やく…してください」



あたしは冷たくそう言って、ふいっと顔をそらした。



「ふうん、そっか」





ストーリーメニュー

TOPTOPへ