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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第10章 無理矢理

志桜さんは晃くんを見てふふっと笑った。



「君は知らないんだね。僕と優依は婚約しているんだよ」



え…?



「はあ?」



晃くんが低い声を出した。



「困った婚約者でね。マリッジブルーだから、つい同じ年頃の男の子に浮気しちゃったんだよね」



え…



何を言ってるの?志桜さん…



あたしは驚いたけれど、声がもう出なくて、彼の背中に抱きついたまま耳を傾ける。



「あんたバカじゃないの?いいおっさんが子供に手ェ出すなよ」



「うるさいよ、君。これ以上僕を侮辱したら、君の両親の会社、どうなっても知らないよ?」



ドキッ…



晃くんの両親の会社?



「…知るかよ」



晃くんはそう言ったけれど、少し遠慮がちな声だった。



本当に、困るのかな…



だけど、今のあたしは疲れすぎていて、これ以上頭が働かない。



志桜さんの背中に安心してしまって、一気に眠気が襲ってきた。



「優依とは二度と関わらないでほしい。いや、関わるな!」



志桜さんは脅すような口調で晃くんに言った。



「お兄さん、勘違いしないでくださいよ。優依ちゃんは俺のこと好きで…」



晃くんはまだそんなことを言っている。



だけど…



「君の過去のことをいろいろ調べたよ。世間に暴露してもいいんだけどね」



志桜さんのその言葉で、晃くんは黙った。



あたしは、そのすぐ後に意識が途切れた。






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