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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

数日後、すっかり体調がよくなったので、あたしはキッチンに立った。



使用人の女性たちが見ている中、あたしはオーブンから焼きあがったフルーツケーキを取り出した。



「上手に焼けてますね」



「優依さんはお料理が上手なのですね」



褒められてちょっと照れくさくなった。



「昔から料理はずっとしていたので、簡単なものだったらできます」



志桜さんに何かお礼がしたいと思って、あたしにできることは料理しかなかったから。



このお屋敷では料理をする機会がなかったので、頼み込んでキッチンを使わせてもらうことにした。



「ほう。これはいい匂いですね」



「三坂さん!」



三坂さんがキッチンを覗いた。



「優依さまが作られたのですか?よくできてますね」



「はい。難しくはありませんから。あの、せっかくなので皆さんで食べませんか?」



「よろしいのですか?」



「はい」



志桜さんの分はまた後で作ればいいから。



あたしたちはキッチンのテーブルを囲んで座り、三坂さんが淹れてくれたお茶でティータイムを始めた。



「美味しいですね」



「ほんと、よくできてる」



よかった。



そういえば、こんなふうに皆とお茶をするのって初めて。



「優依さんの恋人は幸せですね」



ドキッ…



「え、っと…別れちゃって…」



「え?」



全員、驚いた顔で声を揃えた。






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