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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

あたしは一週間ぶりに学校へ行くことになった。



これ以上休んだら授業についていけなくなってしまうから。



まだ少し怖いけど、悠樹くんが一緒に登校してくれる。



緊張しながら学校へ行くと、正門前で晃くんが待ち伏せしていた。



あたしは彼の姿を見ると、つい悠樹くんの後ろに隠れてしまった。



だけど悠樹くんもそれを分かってくれて、あたしを守るように晃くんとの間に入ってくれた。



「うちの姉に何か用ですか?」



ドキッ…



そんなふうに言われるとは思わなくてびっくりした。



「体調が優れないんで、そっとしといてくれますか?」



悠樹くんは晃くんに強い口調で訴える。



すると、思いがけないことが起こった。



「ごめんなさい!」



いきなり晃くんが深く頭を下げて謝罪したのだ。



何が起こったのかわからなくて、あたしはただ晃くんを見つめた。



「本当に、申し訳ないと思ってる。もう、優依ちゃんに近づかないから、お願いだから、許してください」



え…



この変わり様。



「本当にもう姉に近づかないでください」



悠樹くんは釘を刺すように晃くんに言った。



晃くんはあたしの顔を見ることもせず、ひたすら謝罪をして校舎へ戻っていった。



「どうしたんだろ…」



あたしは状況がよく飲み込めなくて放心状態になった。



「兄貴が何かしたんだろ」



え…





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